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箒星の行方 - 6 - 髪 2007-08-30 Thu
出発前日の午後。
長かった髪をばっさりと切った。

ABt、アニマルビューティーサロン大佐。
そこにバイトする美容師の卵――おそらく私が友人として最も多くの時間を共有したであろう彼女に頼んで。

しゃりん、しゃりんと鋏が鳴る。
薄紅の破片がひらひらと床に舞い落ちる。

彼女も私も、何となく緊張していた。
それはそうだろう、これは二人にとってもある種の儀式なのだから。


ビーストアークを統一して、私は暗殺稼業を辞めた。
それが私の一つの区切りだった。

次の目標はナイトメアの統一だった。
本当はそれを果たしたその時に、戦場で、まさに勝利の瞬間、自分のナイフでざっくりと切るつもりでいたのだ。

でもこうして旅立つなら、彼女に仕上げてもらいたい。
そう思って依頼した。

そして――
すっかり軽くなった髪に手をやり、改めて鏡を見た。
頼んだイメージ通り、風をはらんだように軽やかで、短いのにどこか華やかで。
生まれ変わった自分を見る思いで鏡を見つめる。
彼女はセンスが良い。立派なカリスマ美容師になるだろう。


切った髪を一束もらった。
母の墓所に置いて行く為に。

金髪だった母が、自らの罪の具現と嘆いた娘の紅い髪。
けれどこの髪は長い間私の象徴だった。
美しいと讃え、愛してくれた人々がいた。
その誇らしさと、感謝を伝える為に。

ある隠者が言ってくれた言葉。
罪の現れでなく、赤子の魂を映し出した色だったのだと伝える為に。

遠い地で骨を埋めるかもしれない不孝な娘の、母に寄り添う形見として。
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