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失くした欠片との再会。
血が呼び覚ます運命との対峙。
剣と己を捨てて差し伸べられた、救済の翼。
人知れず尽きる命と、交錯する想い。

戦いは終わり、全ては在るべき場所へ――



3ヶ月もの間、だらしのない家主に手入れを放棄されていた城は惨憺たる有様だった。

中庭の草木は伸び放題、池の水面は藻が覆い、侘び寂びどころではない。
そして何より、玄関を開けた瞬間鼻をついた酒の臭気。
顔をしかめて大股で踏み込み、城中の窓という窓を開け放ち、家主を叱咤して空の酒瓶を外に出させる。
瞬く間に“愚か者の塔”が出来上がった。

全く、私がいないとダメなんだから――
怒りながらも懐かしさと幸せに顔が緩んでしまう。


居住区である1階の掃除が粗方終わると、ようやく2階にある自室に恐る恐る足を踏み入れた。
私以外の誰も用があるはずもないそこだけはきちんと片付いていた。
積もる埃と蜘蛛の巣は避けようもなかったが。

描きかけのキャンバス。栞の挟まった本。
何もかも、主を失った3ヶ月前で時が止まっていた。
埃を払い出そうと窓を開けると、これも書きかけの便箋が風に散らばった。

便箋を机の上に戻して文鎮を乗せ、ふと引き出しを開ける。
私はここに大事なものを仕舞っていたはずだった。

透明な小瓶に入った牙。あの戦場跡で拾った誓いの証。
みどり色のガラスのかけら。瞳の色と同じ、初めての贈り物。
友人から贈られた2人を模した人形、城の模型のジオラマ。

一番奥に仕舞われていたのは、何度も大事に読み返されたらしい、日付の古い手紙。
文面を追ううちに目の前が揺れる。
もう戻らない時の流れがそこにあった。


過ぎた日々を懐かしむ事は悪くない。
けれど、その想いにばかり囚われて前へ進む事をやめてはいけない。
この3ヶ月、それを感じさせてくれた人たちに感謝している。


―――

下であいつが呼んでる。
いけない、もうこんな時間。夕食の買い物に行かないと。
たくさん買うだろうから、あいつも荷物持ちに付き合わせよう。
文句なんか言わせない。
…3ヶ月ぶりに、一緒に。


(Ending Image Song「おかしな2人」)
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