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偽装潜入 2007-06-16 Sat
帝国兵と捕虜。

後で覚えてろ?

…ふふっ。知るもんか。
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アルフィール君の気配が感じられなくなった。
死んだのではない、きっと何かの力によって遮断された場所へ行ったのだろう。
別れる時の彼は殉教者のような目をしていた。
辛い目に遭っていなければいいと、姉のようにひっそりと想う。

彼の大農場を出た私は、月光の里の片隅に小さな畑付きの小屋を借りた。
月光の風土が好きなのと、以前ラドビナで母と住んでいた小屋によく似た外観が気に入ったからだった。

ピリカ―いつか巣から落ちていたのを拾い、ズウに世話してもらった白い小鳥―は、月光に移り住んでからというもの、毎日何処かへ遊びに行っているらしい。
一体何処へ行っているのだろう。
この近くに自分の生まれた巣でもあるのだろうか。

そんな事をつらつらと考えていて気が付いた。
なぜ今まで気付かなかったのだろう。
私が何らかのショックで記憶を失ったのは保管所の中でだった。
ならば、そこへ行けば手掛かりになるものがあるかもしれない。
記憶を取り戻すきっかけが掴めるかもしれない。



loss of memory-6- a hideout 2007-06-02 Sat
大農場を出た私は、住所不定のまま二日間彷徨っていた。
この時期は幸いにして陽気も良く、凍える心配も無い。
水浴びの出来る湖も見つけたし、ただ夜露をしのぎつつ体を横たえる場所があれば良い…と。
手荷物一つ、小鳥が一羽。文字通りのホームレス。
寂しがりの自分にしては珍しく、人との関わりが酷く億劫になっていた。

だが何日もこのままではいられない。
重い腰を上げ、住宅購入相談所に赴く。
悪戯っぽい目をした髭の店主は私を覚えていてくれた。



終の空 2007-06-01 Fri
“招待状が、届いたのです”

そう彼は言った。
現し世に亡いはずの、最愛の人たちから。
おそらくは罠、それでも行くのだと。

「死にに行くようなものじゃないか!」
思わず叫んで、はっと口を押さえる。
そうなるとは限らない。だけど――

“さようなら”

――あぁ、でも薄々思ってたんだ。
いつかこんな風にいなくなるんじゃないかって。

「私が君を覚えている限り、君は決して死なない」

そして私も、言った。

「さようなら。ありがとう」


――

気付いた時、家主の気配は無かった。
かつて斬り結んだ事もある彼の愛刀「天衣無縫」、
ここしばらく部屋にあったはずのそれも消えていた。

何もかも夢だったのか?
だけど、あの紅の炎は今、確かに胸の奥に在る。


私は元々わずかしかない荷物をまとめ始めた。
今は無性に一人になりたかった。

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