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忌避すべきもの 2007-07-10 Tue
(隠すように折り込まれたページ)


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失くした欠片との再会。
血が呼び覚ます運命との対峙。
剣と己を捨てて差し伸べられた、救済の翼。
人知れず尽きる命と、交錯する想い。

戦いは終わり、全ては在るべき場所へ――




今日から2週間、ナイトメア病院で看護師を努める事になった。
恐れ多くも国民の生命と健康を支える国家施設。
それなりの気構えを持って臨むつもりだ。
しかし似合わないな。
元暗殺者、今も戦場で命を奪い続ける私が癒しの仕事なんて。

適した服を持っていなかったので、病院の女性用看護服をレンタル。
アリサン様のご趣味なのか、色々変わった服があったな…
さすがはファッションで定評のあるナイトメア。
ただあまり奇抜なデザインの服は腰が引けるので、いくらかシンプルなものを借りる事にした。
一応、夏服だそうだ。
袖が無くて涼しいし、下はスパッツになっていて動きやすい。
胸にはナイトメアの紋章。
病院定番の十字マークは女王様があまりお好きじゃないみたいだから、かな?

ふと歴代の看護師の友人たちを思い出してみる。
女装だったり、鬼面を被っていたり、使用人がわらわらいたり…
…やっぱり思い出すのはやめた。

さて、頑張るか。
前任のギムア君からクッキーも貰ったし、ふふ。仕事の合間にこっそり食べよう。
ちなみに手に持ってるのは包帯じゃなくテーピング用だよ。


アルフィール君の気配が感じられなくなった。
死んだのではない、きっと何かの力によって遮断された場所へ行ったのだろう。
別れる時の彼は殉教者のような目をしていた。
辛い目に遭っていなければいいと、姉のようにひっそりと想う。

彼の大農場を出た私は、月光の里の片隅に小さな畑付きの小屋を借りた。
月光の風土が好きなのと、以前ラドビナで母と住んでいた小屋によく似た外観が気に入ったからだった。

ピリカ―いつか巣から落ちていたのを拾い、ズウに世話してもらった白い小鳥―は、月光に移り住んでからというもの、毎日何処かへ遊びに行っているらしい。
一体何処へ行っているのだろう。
この近くに自分の生まれた巣でもあるのだろうか。

そんな事をつらつらと考えていて気が付いた。
なぜ今まで気付かなかったのだろう。
私が何らかのショックで記憶を失ったのは保管所の中でだった。
ならば、そこへ行けば手掛かりになるものがあるかもしれない。
記憶を取り戻すきっかけが掴めるかもしれない。



終の空 2007-06-01 Fri
“招待状が、届いたのです”

そう彼は言った。
現し世に亡いはずの、最愛の人たちから。
おそらくは罠、それでも行くのだと。

「死にに行くようなものじゃないか!」
思わず叫んで、はっと口を押さえる。
そうなるとは限らない。だけど――

“さようなら”

――あぁ、でも薄々思ってたんだ。
いつかこんな風にいなくなるんじゃないかって。

「私が君を覚えている限り、君は決して死なない」

そして私も、言った。

「さようなら。ありがとう」


――

気付いた時、家主の気配は無かった。
かつて斬り結んだ事もある彼の愛刀「天衣無縫」、
ここしばらく部屋にあったはずのそれも消えていた。

何もかも夢だったのか?
だけど、あの紅の炎は今、確かに胸の奥に在る。


私は元々わずかしかない荷物をまとめ始めた。
今は無性に一人になりたかった。

心の何処か奥深くから
小さな小さな囁きが聞こえる
届かなくていい
伝わらなくていい
それでも、と


“お誕生日おめでとう”――

授けられた魔法 2007-05-27 Sun
独学で習得した初級魔法とは違う。
砂漠のオアシスで増幅した魔力に援けられた偶然とも違う。
これは彼のやり方で「授けられる」高位の魔法。

目を閉じれば額と額を合わせられ、包むように握られた両手。
顔の近さと手の温もりに鼓動が跳ね上がる。

そんな私をよそに、沈着そのものの彼は伝授を始める。
せわしい胸の内を恥じながら静め、行われる事に集中する。

――失われた儀式言語によるかすかな囁き
――昂揚感、仄かに流れ込んで来る形のない“何か”

“外で試してみましょうか”

微笑む彼と共に、星を散りばめた濃紺の天幕の下へ立つ。

さぁ、思い描くのだ。
放たれるべき炎のかたちを。
抑えようのない闘争心と魂焦がす切なる願い、
闇の中で刹那閃く哀しみにも似た、
力強く鮮烈なる情動の色を。

それは彼が名付けてくれた――最後の炎。

la_primavera0.jpg

“女神の気まぐれ”
――春の女神は気分屋
自ら咲かせた花々があまりにも美しく
地上の民が賛美するのに嫉妬して
強い風雨を吹き付けては散らせてしまう――


春を喜び楽しむ素敵な企画が開催中だよ。
期間は5月一杯。色彩豊かな衣装で着飾った人々も勢揃い。
25日~27日の3日間はサロンで宴も開かれるとか!

【Calendimaggio -Festa di primavera-】主催:ズウ
絵師の間【Calendimaggio】五月祭のお誘い
サテライト:Calendimaggio!(祭りに関する案内書)

年上なのに、なぜか君づけで呼んでしまう彼。
家庭的で優しくて、素晴らしく魔法に長けていて。
でも何を考えているか分からない不思議な人。
私の理解の及ばない、業を背負っている人。

綺麗に編んだ金の髪。
細い鼻梁。尖った耳。深く澄んだ青の瞳。
女と見紛う柔和な顔立ち。
ほっそりと華奢な身体。

黒い、――翼。

(傍らの背をじっと見つめている。何か記憶を探るように)

loss of memory-4- a day 2007-05-07 Mon
5月のカレンダーに印を付けた。
楽しみな予定、しなければならない事の期日、友達の誕生日…

ふと、手が止まる。

――5月12日。5月30日。

これは何?…何の日だった?
どうしてこんなに引っ掛かるのだろう。

分からない。
あぁもう、何だっていいじゃないか。


何だか無性に絵が描きたいな。
色を付けない素描をたくさん。
好きな人たち、遠くに旅立った人たち、
それから話した事もないけど描いてみたい人たちの絵を。
戦う姿を。喜怒哀楽を。

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